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月刊 世界のチーズ Vol.12 Occelli al Pepe nero e Bacche rosa(オッチェッリ・アル・ペペ・ネーロ・エ・バッケ・ローザ)


●Ocelli al Pepe nero e Bacche rosa
 オッチェッリ・アル・ペペ・ネーロ・エ・バッケ・ローザ
■このチーズは、イタリア・ピエモンテ州クーネオに拠点を置くチーズメーカー「Beppino Occelli Agrinatura srl」の製品です。
 羊乳と牛乳の混合乳から作った生地(カード)にブラック&ピンクペッパーを丸ごと混ぜ込んで作られたチーズ。ヴァルカゾット(Valcasotto)のセラーで4.5ヶ月以上の間、様々な種類の木の棚を使用して熟成されます。木の棚はチーズに特有のニュアンスを与える目的で選ばれており、中性の木材として使用される松(パイン)に始まって、楓(メープル)や林檎(アップル)の棚板等が採用されています。
■原料乳:羊乳および牛乳(ともに殺菌乳;配合比率は1:1)
■固形分中乳脂肪:56%
■熟成期間:最低135日(約4.5ヶ月)
■大きさ・形:直径30cm、高さ7~8cm、重さ約7kg
■原産地:イタリア・ピエモンテ州、クーネオ

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Ocelli al Pepe nero e Bacche rosa
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Beppino Occelli


 「Beppino Occelli Agrinatura srl」の創業者であるベッピーノ・オッチェッリ氏は1976年よりバターの製造を皮切りに酪農を始めました。高品質のクリームのみから作られる彼のバターは瞬く間に世界でトップブランドの評価を得ました。さらに地元ランゲやアルプス地方の伝統的製法を基に、他に類を見ないチーズのオリジナルレシピを考案します。彼が目指したのは、チーズに新しく洗練された個性を与えるために、熟成による味わいに負けない独創的で強烈なフレイバーやテイストでした。自然をヒントに、新たな発想と好奇心から驚きに満ちた味わいを導き出すことがチーズ作りの全てであると考えています。


 新鮮で革新的かつ驚くべき相乗効果をもたらすフレイバーとして採用されたのは、山のワラ、天然の穀類の香り、栗の葉、地元ランゲ※の赤ワインの搾りかすの他、ドライフルーツ&グラッパ、ブラック&ピンクペッパーのコンビネーション。これらを利用してチーズを成熟させることで、豊かな風味と新しいフレイバーを獲得することに成功しています。


ランゲ(Langhe;古い方言で「ランガ(Langa)」とも)は、クーネオ県とイタリア北部ピエモンテのアスティ県のタナロ川の南と東にある丘陵地帯。ワイン、チーズ、トリュフ(特にアルバ産白トリュフ)で有名。ランゲの一部は人間と自然環境との相互作用の優れた例を構成したヨーロッパのブドウ園の原型とも言われており、2014年6月22日、そのブドウ栽培およびワイン製造の伝統に関わる文化的景観、長い歴史に由来する卓越した生きた証としてユネスコ世界遺産に登録されています。


 

Val Casotto Cellar


Occelliは本社所在地からから約42km南下したValcasotto(ヴァルカゾット)と呼ばれる地域にチーズ専用の熟成庫をもっています。





熟成庫への扉を開けると、石造りの熟成庫が地下へと広がっています。


岩から滲み出た湧き水が熟成庫内の湿度調整に一役買います。


熟成庫内は思いのほか広く、奥へとダンジョンのように広がっています。


チーズの熟成にはその種類や熟成段階に応じて様々な種類の棚板が使用されていますが、熟成庫内は棚板に使用されている木材の種類によって部屋が分かれています。


▼Abete(モミ)


▼Acero(カエデ)


▼Castagno(クリ)


▼Frassino(セイヨウトネリコ)


 これらの他に、松(パイン)、林檎(アップル)、桜(チェリー)、山毛欅(橅;ビーチ)、洋梨(ペア)等、全部で12種、いずれもイタリア産の木材が棚板として使用されています。これらの選択によってヴァルカゾットの熟成庫内は天然の植物相を対象に合わせて区画単位でアレンジすることが可能です。

▼ビジュアル的に迫力満点のワラ部屋


部屋の中央に置かれたワラバスケットの周りにチーズを並べ、ワラの香りの中で熟成させます。気分はまるでロアルド・ダールのチョコレート工場(原題:Charlie and the Chocolate Factory)さながら・・・おとぎ話の世界を具現化したような空間です。

Respect for raw materials


優れた製品は原料への敬意から生まれるというのがOccelliのモットー

40年以上にわたって続けられてきた品質へのたゆみなき探求は、ミルクに味と風味を与えるアルプスの花のエッセンスが豊富な最高の牧草地の選択から始まりました。これはチーズの風味と同じ味です。その答えがアルプス最南端の麓からランゲに広がる草原、牧草地、森にありました。
Beppino Occelli製品の品質は、あらゆるサプライチェーンに裏打ちされています。
牛であれ山羊であれ、彼らは厳格なアニマルウェルフェア(Animal Welfare)※の精神に基づいて農家を選択し、厩舎の選択にも注意を払っています。
優れた原料からのみ優れた製品を生み出すことができるからです。
一見モダンなチーズメーカーの企業理念はとても原始的なところにあるようです。


アニマルウェルフェア(Animal Welfare)とは、感受性を持つ生き物としての家畜に心を寄り添わせ、誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされ た、健康的な生活ができる飼育方法をめざす畜産のあり方です。 欧州発の考え方で、日本では「動物福祉」や「家畜福祉」と訳されてきました。


 



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CATEGORY: 月刊 世界のチーズ