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月刊 世界のチーズ Vol.8 Queso de Oveja al Pedro Ximénez(ケソ・デ・オベーハ ペドロ・ヒメネス)


●Queso de Oveja al Pedro Ximénez
 ケソ・デ・オベーハ ペドロ・ヒメネス
■「ケソ・デ・オベーハ」とはスペイン語で「羊のチーズ」のことです(Oveja:オベーハ=羊、Queso:ケソ=チーズ)。スペインを代表する羊乳チーズには、ラ・マンチャ地方のPDOチーズ「ケソ・マンチェゴ(Queso Manchego、ラ・マンチャのチーズの意、以下「マンチェゴ」と略)」が挙げられますが、このチーズはマンチェゴ同様ラ・マンチャ地方のアルバセテで作られた羊乳製セミハードチーズ(ケソ・デ・オベーハ・アルバセテ)にスペイン原産の白ブドウ品種ペドロ・ヒメネス(PX)から作られたワインを滲み込ませて作られたものです。
■原料乳:羊乳(殺菌乳)
■固形分中乳脂肪:最低48~55%
■熟成期間:10~11ヶ月(原料チーズ)
■大きさ・形:直径18cm、高さ10cm、重さ2.5~3kg
■原産地:スペイン・カスティーリャ=ラ・マンチャ州、アルバセテ

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Presented by Spanish Cheese

ケソ・デ・オベーハ ペドロ・ヒメネスを製造するのはスペインのアルバセテに拠点を構えるチーズメーカーSpanish Cheese(スパニッシュ・チーズ)です。


スパニッシュ・チーズは2002年に誕生した新しい会社ですが、1996年にカスティーリャ=ラ・マンチャのアルバセテでマンチェゴチーズの製造を牽引してきたメーカーが共同で事業を興したことに端を発しており、現在はチーズの輸出市場における専門商社として知られています。

Queso de Oveja Albacete

先にも述べた通りスペインを代表する羊乳チーズには、ラ・マンチャ地方のDO(PDO※1)チーズ「ケソ・マンチェゴ」が挙げられます。



※1.デノミナシオン・デ・オリヘン(スペイン語: Denominación de origen、カタルーニャ語: Denominació d'origen、ガリシア語: Denominación de orixe、英語ではDesignation of Originの意味、略称DO)は、スペインの食料品に対して与えられる原産地呼称制度。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)


 

オランダのゴーダ同様、マンチェゴはスペインチーズの代名詞的な存在と言ってよく、DOPマンチェゴ以外にいわゆる「マンチェゴスタイル」の派生商品が多く存在します。
長期保存を可能とするために、DOPマンチェゴの表面にはカゼインプレートを識別できる範囲でワックスコートや着色が認められており、オリーブ・オイルに漬け込んだ商品も存在しますが、ペドロヒメネスのようなフレイバーを加味したものはPDOとならず、一般的に「ケソ・デ・オベーハ(Queso de Oveja)」となります。
ここではとりわけ製造地であるアルバセテの名を冠して「ケソ・デ・オベーハ・アルバセテ(Queso de Oveja Albacete)」と呼ばれています。

MANCHEGA RACE


ケソ・マンチェゴの原料乳で知られているマンチェガ種はラ・マンチャの原始種アントルフィーノを原種として家畜化し、品種改良を重ねて固定された乳・肉両用品種です。


マンチェガ種の90%は白毛種で10%が黒毛ですが乳質には違いがないそうです。
一年の内4月~6月にかけて1頭当たり平均で100リットル(26.4ガロン)のミルクを産出します。ラ・マンチャ地方は海抜600mの盆地となっており、肉用と乳用のどちらも飼育されています。

PEDRO XIMÉNEZ (PX)


ペドロ・ヒメネス(しばしばPXと略され多くのバリエーションをもつ)は、スペインのワイン産地で栽培されている白ワイン用ブドウの名前で、特にモンティーリャ・モリレスのDO地域に特徴的なブドウ品種です。


ここでは単一品種から作られた甘く、琥珀~マホガニー色の濃い色調の、樽で熟成させたデザートシェリーを生産するのに使用されています。葡萄を暑い太陽の下で乾燥させ甘さを濃縮し(ヴァン・ド・パイユ=麦わらワインの生産に似ています)、レーズンや糖蜜の強い味わいの濃厚な黒い液体を作ってソレラで熟成させます。

A solera system

ペドロ・ヒメネスの特徴的な熟成方法である
「ソレラ(Solera:ソレラシステムまたはクリアデラとソレラのシステムとも)」について英語の解説ではシンプルに、
A solera system is a fractional blending system. とあります。
無理矢理日本語に訳すとすると「分画混合法」くらいのニュアンスでしょうか。


ソレラについてこうした図式をしばしば見かけます。
図のように積み上げられた樽の階層がそれぞれ熟成違いの分画となっており、長い熟成の期間に最上段(最も新しいもの)から一段ずつ下段の樽に移し替えられていき、ソレラ(地表層)と呼ばれる最下段が最も熟成し、最も様々な年代がブレンドされたものとなります。熟成されたものはソレラから取り出され、またひとつ上段の樽から下段へと移し替える作業が繰り返されます。
これは製品の伝統的な味わいと高い品質を時代を超えて保つために受け継がれてきた技法で、いわゆる「秘伝のたれ」に似ています。
シェリーの熟成法としても知られていますが、ペドロヒメネスのようなシェリーを含むワインやビール、トラディショナルバルサミコのような醸造酢、ウイスキーやブランデー、ラム酒の熟成・ブレンドとして採用されています。このシステムの起源はイベリア半島にあるため、伝統的な用語のほとんどはスペイン語とポルトガル語です。
琉球泡盛の熟成に「仕次ぎ(しつぎ)」という方法がありますが、このソレラシステムと非常に良く似ています。


モンティーリャ・モリレスではシェリーの生産と同じように表面にフロールと呼ばれる膜を形成する「産膜酵母」を使用し、ソレラによる熟成を行っています。この熟成の間、フロールがワインに含まれるグリセリンを消費し、大量のアルデヒドを生成することでアーモンドのような風味をもたらします。


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