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月刊 世界のチーズ Vol.6 GJETOST(イェトスト)


●GJETOST イェトスト
■"Gjet"(イェト)は「ヤギ」を、"ost"(オスト)は「チーズ」をあらわすノルウェー語で、"Gjetost"は「ヤギのチーズ」という意味を持つ。ノルウェーで生産されるチーズの一種とされており、乳清(ホエー)を煮詰めて生クリームを添加したものをカラメル状にするという特殊な製法から作られる。いわゆるチーズとは異なって甘く、むしろ乳から作ったキャラメルやゲンコツ飴といった風味。薄くスライスして食すのが一般的。
■原材料:ホエイ(乳清)、生山羊乳、生乳、生クリーム
■熟成期間:非熟成
■大きさ・形:250gや1kgの直方体で販売されている
■原産地:ノルウェー(オスロ)

RECOMMENDED

GJETOST(イェトスト)を存分にお楽しみいただくためのオススメの組み合わせ


スライサーで削り


ワッフルなどにのせていただくのがノルウェースタイル


What's  GJETOST?

free encyclopedia "Wikipedia"で「GJETOST」を検索すると、


ノルウェー語版も英語版も「Brunost(ブルノスト)」の項目にその派生あるいは別名として収録されているのに対して、日本語版では「GJETOST(イェトスト)※」の項目で収録されています。いずれの場合も「GJETOST≦Brunost」である。


イェトスト(Geitost または Gjetost:どちらも意味は「山羊チーズ」)という名称は、ノルウェーでは山羊乳あるいは山羊乳由来の成分を含むブルノストに対して与えられるもので100%山羊乳製ではありません。牛乳を全く含まないものに対しては"Ekte Geitost(エクト・イェトスト=真の山羊チーズ)" という名が与えられます。またノルウェーではあまり一般的でないフランスのシェーヴルのような山羊チーズに対しては"Hvit geitost(ヴィートゥ・イェトスト=白い山羊チーズ)"と呼んで区別しています。(reference ; the Free Encyclopedia Wikipedia (en))


 

How to make "Brunost"

一般的にチーズは原料となるミルクに凝乳酵素(レンネット)を加え、そこから取り出される凝乳(カード)から乳清(ホエー)を取り除いて乾燥・熟成させたものですが、イェトストを含むブルノスト(=ブラウンチーズ)は本来チーズの副産物となるホエーを主原料として茶色くなるまで煮詰めて作られます。


▼加熱後の撹拌と型詰め・成形のようす


※画像は伝統的な木型による成形。木型の内側にレリーフが施されているものもある

Is Brunost cheese or not?

厚生労働省第五十二号
「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」によると


文字だと少し分かりづらいので、図に表すとこんな感じ


乳等省令18の「一」に従うとホエーから作られる製品はナチュラルチーズに当たらず、「二」の「前号に掲げるもののほか、乳等を原料として」という条件には合致しますが、「同号に掲げるものと同様の化学的、物理的及び官能的特性を有する」という点について、英語版Wikipediaの『Brunostの項』では「チーズの味がしない」と記載されており製法から考えるとチーズではないとされています。
日本の乳等省令では2005年までは「種類別 ナチュラルチーズ」とされてきたそうですが、現在は「乳又は乳製品を主要原料とする食品」という表示がされています。

然しながらチーズメーカーによって製造・販売されていること、チーズのように取り扱われ、チーズと同じように食されていることから、習慣的にチーズとして認識されています。ノルウェー語版Wikipediaの『Brunostの項』には『チーズの定義を「日常生活でチーズと呼ばれるもの」とすればブルノストはチーズである』という記述があり、ノルウェーでチーズとして食されている約30%がこのブルノストだと言われています。

Gudbrandsdalen


Gudbrandsdalen(グドブランスダール)はノルウェーのØstlandet(エストランデ:南ノルウェーの東側領域)インラント県にある渓谷です。ノルウェー最大の湖 ミョーサ湖(海抜123m)を起点としてリレハンメルから北西方向に向いており、海抜611mの湖Lesjaskogsvatnet(レスジャスコグスヴァトネット)に向かって230kmに及びます。
ブルノスト(=イェトスト)はこの地で誕生しました。


THE STORY OF ANNE HOV

ノルウェーの国民的チーズ ブルノストは1863年、Anne Hov(アン・ホフ)という女性によって発明されたと言われています。アンは1846年1月6日Gudbrandsdalen(グドブランスダール)の農家の娘として生まれました。


ノルウェーにはsummer-pasture farming(夏の放牧地農業)という古くからの農法があり、牛や羊、山羊を高地に連れていき放牧と肥育を行うことで搾乳量を上げるという作業が行われます。18世紀から19世紀初頭にかけて家畜の世話をしてチーズやバターを作るのは女性の仕事でした。
夏の農業の要はミルクの処理と保存、すなわちバターのチャーニング(撹拌して原料乳からバターを取り出すこと)、チーズの製造、そしてホエーの煮沸でした。
ブルノストの原型となったブラウンチーズは既にありましたが、今のように生クリームを加えることなくホエーを煮詰めて作られていました。
かつては糖分が多く脂肪分の少ない素朴な味わいだったのです。
1863年のある夏の夜、当時17歳のアンは訪れた隣山の農場で牛乳のホエーから作られたブラウンチーズと出会います。そのコク深い味わいをとても気に入った彼女は父親から自分たちの農場でブラウンチーズを作る許可をもらいました。


アンはチーズを作るために沸騰させていたホエーに生クリームを注ぐことにしました。 数時間加熱して生地がほど良く濃密な粘度になると、バットに移して冷ましながら練り上げて型に入れました。
こうして作られたクリーム添加タイプはとても好評で、この年の夏に最初のブルノスト「Gudbrandsdalsost(グドブランズダールスオスト)」が誕生したと言われています。



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CATEGORY: 月刊 世界のチーズ